「日銀デフレ」大不況 失格エリートたちが支配する日本の悲劇
- 作者: 若田部昌澄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/28
- メディア: 単行本
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http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20100727#p1
何でもかんでも誰か一人(一つの組織)のせいにするのを「陰謀説」というが、この本はそうではない。日銀を「アンタッチャブル」にしてしまった理由。そしてその弊害と処方箋がきちんとまとめられている。良書。
P213「インフレ目標に対する二つの批判」(に関する著者の解答)
先進諸国において、インフレ目標を導入している国々はインフレ率の維持に成功しており、それはインフレ率を下げるときだけではなく、インフレ率を上げるときにも役立っている。 (P216)
デフレギャップ30兆円を埋めるくらいで、日本でハイパーインフレになることはあり得ない。つまり現在の日本において、ハイパーインフレが起きる可能性はゼロに等しいといってもいい。 (P219)
ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)故服部正也氏の名言を思い出して欲しい。
通貨は空気みたいなものです。それがなくては人間は生きていられません。空気が汚れておれば人間は衰弱します。しかし空気をきれいにしても、人間の健康が回復するとは限りません。空気は人間に必要であっても、栄養ではなく、人間が生きるためにはさらに食物をとり水を飲むことが必要なのです。通貨改革をすることは空気をきれいにすることです。(P44)
そう。いま日本経済は「酸素が足りない水槽の中で金魚がアップアップしているようなもの」なのだ。本書は、空気を送り込むポンプを唯一持っている日銀に対して、政府はパイプを水槽に突っ込むよう指示をするべき、と述べている。
もしもそれができないなら、いっそのことハイパーインフレが起こったジンバブエのように「円を廃止してドルに切り替える」しかないよね(爆)