北極海にもメガフロートを!

地球温暖化でホッキョクグマ絶滅の恐れがあるという。「ホッキョクグマ - Wikipedia」にも記述がある。『ライラの冒険』を観たばっかりだし(もちろん原作は全て読了)北極海の王、くまちゃんには同情を禁じえないのだけれど。
仮に、ホッキョクグマに絶滅の危機が迫っているとして、その原因が地球温暖化であったとして、その要因が人類の排出するCO2だったとして。「何をいまさら」言っているのだ、と思う。人類が絶滅させた種が今までどれだけあるのか、と。そのリストが1行増えるだけのことだ。いや「ホッキョクグマは他のどんな動物より(ヒトは除いて)大切だ」と言うのなら、もし仮にCO2排出を目標どおりに削減したとして、クマちゃんを救うことができるのか? と問いたい。
結局「ホッキョクグマを救え」を叫ぶ人々は、哺乳綱食肉目クマ科に分類されるクマの1種を人質(熊質か)にしている“だけ”だ。ほんとうに救う気があるのなら方法は他にもある。動物園だって(その方が彼らは長生きする)南極だって(可能性としては)ある。要はその投資やリスクに値する価値があるかどうかだ。
熊や鯨を大事にしようと言う人たちに「じゃあ、チベットの巡礼者たちが撃ち殺されてもいいのか」と聞いたら何と答えるのだろうか。ツバルにメガフロートを!というエントリーを書いたことがあるけれど、わたくしは地球という星を人質(星質か)にして、危機を煽る人たちを好まない。結局、ヒトにとって住みよい環境のことしか考えていないからだ。
鳥が高い空を飛べるのは、酸素が薄くてCO2濃度が高かった恐竜時代に進化したことの証である。( 「恐竜は絶滅した、しかし人類は──」とか言うな!参照)その時代の地球環境が植物の成長にとって理想的だったから、今の化石燃料の多くが蓄積されてきたのだ。現代は、それをせっせと燃やして大気に還元させているだけなのだ。
もちろん、資源は有効に使ったほうがいいに決まっているし、自然にとって有害な物質を極力出さないようにすることが、知的生命体の使命であることには間違いない。『ライラの冒険』に登場するクマの王「イオレク・バーニソン」は、一度は仲間を連れて温暖化した北極からヒマラヤを目指すが「自分たちの居場所はここではない」と言って北へ戻る。クマのことはクマにまかせよう。ヒトはヒトのことを考えよう。地球の将来ではなくて、人類の未来を。