2つの名文句

いまの地球は、宇宙から見ればこんな星なんだぞ。いまの人類は異星の知的生命体から見ればこんな存在なんだぞ。これでいいのか? きみたちはこの惑星を、人類という種族を、どんな方向へ導いていくんだ?(訳者あとがき)

『汝の行動の格率が、つねに普遍的立法の原理となるように行動せよ』カント
 ──それを、ひとことで言えば──
『人にしてもらいたいことを人にしなさい』(P329)

もちろん、この作品が名作かといえば決してそうではない。そうではないが、巨匠が全作品を通じていいたかったことの(ほぼ)全てが網羅されていることは間違いない。それでいいではないか。
著者らをはじめ世界のSF作家が日本で開催された「SF大会」にやってきて、皆で広島の話をしたときのエピソードが書かれている「まえがき」も素晴らしい。(P13)西暦1945年8月6日の「憎しみの光」を「星からだれかが見ているかもしれない」。この想像力こそSFの真髄だ。