ちょっと、いい話。

「溜池通信」かんべえの不規則発言<6月14日>から

 この頁は、日付リンクできないので引用〜

<6月14日>(水)「宝くじ」

〇先月のいつだったか忘れちゃったのだけど、飲んだ帰りに新橋の駅前でふと「ドリームジャンボ宝くじ」を衝動買いした。〜中略〜
ふと酔眼で派手な広告を見ているうちに、売り場に歩み寄ってしまった。そして、「ありがとうございました!」という威勢のいい声と引き換えに 〜 連番で10枚買い求めたのである。

〇かんべえの経済状況は、「3億円は当然持っていないけど、3000円を酔狂に投じるくらいの余裕はある」という程度である。 〜 現に今年は競馬がじぇんじぇん当たらず、累損がかなり貯まっている。(馬券王先生、何とかしてください!) まあ、所詮は洒落であるので、「3000円を連番で投じた際の期待値は300円である」という程度の認識はある 〜

〇てなことを考えつつ、新橋駅に向かっていたところを後ろから誰かに呼び止められた。振り返ると先ほどの売り場の女性が、「お客様!」と呼びかけてくるではないか。そして彼女は、「お呼び止めしたのですが、聞こえなかったようなので。お金を余計にいただいておりましたので、お返しします」と言って、ピンピンの1000円札を差し出した。期待値300円のところ、早くも1000円ゲットである。というか、へー、いまどきこういう話ってありかよ、と意外な展開に驚いていると、彼女は大きな声でこう言って頭を下げた。

「でっかいのが当たりますように!」

〇彼女の後姿を見送りながら、ああ、この人は本当に夢を売る仕事をしているのだ、とそのとき気がついた。ワシは別段、夢を買ったわけではなく、ただ酔狂を買っただけであったのに。 〜

ドリームジャンボは昨日が抽選日で、今日、インターネットで当たりを確認したところ、やっぱり期待値300円通りの結果であった。まあ、それはよろしい。 〜

〇生きていく上で、おカネは絶対的に必要である。でも、たくさんあり過ぎると、「でっかいのが当たりますように」とか、「出でよ万馬券!」と祈ることができなくなるかもしれぬ。夢や酔狂を失っては、生きている甲斐がないではありませぬか。ねえ、ご同輩。

かんべえ氏こと、吉崎達彦さんは、双日総合研究所取締役 副所長の主任エコノミストですよ。競馬はもとより「宝くじ」が効率の悪い「投資」であることなんか、百も承知のはずではないですか。でも、こうやって街を歩いていて

ああ、この人は本当に夢を売る仕事をしているのだ

こういうことが感じられるセンス。それを表現するコミュニケーション力は素晴らしいと思いました。
他人の日記を読む楽しみ、というのはこんなところにありますね〜