おなじく「かんべえの不規則発言」から

<9月28日>(水)

〇昨日のジョブス演説には反響が大きくて、たしかにゲイツの口からは絶対に出てこないような珠玉の言葉だと思います。社会に第一歩を踏み出すときに、こういう言葉と出会える大学生は幸せであると思います。

〇ところで、Kanryoさんが今日のエントリーでこれを取り上げて、「役所を辞めたくなりました」と言っています。そんなことを言わないで。以下の文章を読んだら、きっと元気が出ますから。

〇以下は今週号の「週刊エコノミスト」誌P76に掲載されている「金融庁“異能官僚”が綴った『十戒』」というコラムが紹介しているものです。金融庁の中で出回った「心得」が、霞ヶ関で話題になっているとか。全文はエコノミスト誌をご覧いただくとして、以下はかんべえが勝手に短縮した「十戒」の要旨です。


金融庁十戒

(1) 上司と部下 上司は部下の仕事に付加価値を加えるのが仕事である。それができない上司は、意思決定プロセスから除外し、階層をフラット化する必要がある。

(2) ペーパーワーク コミュニケーションは極力口頭で行なわねばならない。応接録の大半は、言い訳と自己弁護の作業に過ぎない。組織が意思決定する場合のペーパーは2枚を超えることを禁止する。

(3) フットワーク 本質的な情報を機敏に、簡潔に、タイムリーに、必要とする者に伝達すること。ペーパーやメールを何でも関係者に回すのは最低だ。

(4) 制度 ワークしない制度を作るやつは最低のバカである。この制度は国民にとって何の意味があるのかを不断に問え。不要化した制度は迅速に撤廃せよ。

(5) 説明責任 いまだに「世間の批判を回避するためには」なんてペーパーに書くやつは皆で殴らねばならない。内部ペーパーでも公表資料と思って書け。想定問答なんてものは消滅する。国民に対する我々の代弁者はマスコミだ。我々の仕事が報道されるのはいいことである。

(6) 折衝 折衝で重要なのは知識より総合的人間力である。肝要なのは、国民のために働いているという筋のとおった姿勢と、それが相手に伝わることである。

(7) 本音と建前 建前を言わなければならない局面というものはある。だが建前がホンネから乖離しすぎると精神の健康に悪い。裁量を排した事後チェック型行政なんてふりをすべきではない。

(8) 健康 過労は健全な判断力を狂わせる。40歳以上は月100時間、未満は月150時間を超えて超過勤務することを禁止する。

(9) 採用区分 役所は今なお採用区分による差別が存在する前近代的組織である。キャリアだとかⅡ種だとかⅢ種だとか、出向者だとか、そんなことが国民への貢献と何の関係があるのだ!国民にどう貢献したかが唯一の評価基準である。

(10) バカの壁 我々だけが意識改革したところで周囲のバカの壁は厚いだろう。だが、少しずつでいい。バカの壁を突き崩そう。新たな日本の資本主義を形成していくのは我々なのだという誇りとともに。


〇ここに書かれている内容は、官僚機構だけではなく、大部分が民間企業にも通じる話だと思います。コンプライアンスなんてどうだっていいんです。健全な常識がありさえすれば。でも、それが通じないから、誰かが声高に正論を述べなければならない。上記の十戒を誰が作ったかは知りませんが、「良き指導者は良き教育者なり」を地でいくような方なのだろうと拝察します。

 このあと、かんべえ氏は電通の『鬼十則』を引くのですが、惜しいかな「鬼の十訓」とか書いてます。ちなみに読みは「おに・じっそく」です(“じゅっそく”ではなくて)。

 ボクが個人的に好きなのは、『責任三カ条』ですね。
 今は手帳に載っていませんけれど、 こちらも捨てがたい味があります。


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  1.命令・復命・連絡・報告は、その結果を確認し、その効果を把握す
    るまでは、これをなした者の責任である。その限度内における責任
    は断じて回避できない。

  2.一を聞いて十を知り、これを行う叡智と才能がないならば、一を聞
    いて一を完全に行う注意力と責任感を持たねばならぬ。
    一を聞いて十を誤るごとき者は、百害あって一利ない。正に組織活
    動のガンである。削滅せらるべきである。

  3.われわれにとっては、形式的な責任論はもはや一片の価値もない。
    われわれの仕事は突けば血を噴くのだ。われわれはその日その日に
    命をかけている。


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 男子たるもの、こうありたいですね。